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金型の製作-金型にも実は色々種類がある-

金型には生産数量や使う素材によって幾つもの種類があり、使い分けが必要です!

商品開発をするときに避けて通れないのが、「金型」。
でも意外に知られていない事=金型にはたくさん種類があるということ。
100万個作る時に「良い金型」が、美しいプロダクトの外装にも「良い金型」とは限りません。
最適な金型を選ぶことで、コストを抑えて顧客に喜ばれるプロダクトを作ることができるのです。

色々な金型の種類

本金型

〇本金型(標準本金型)

まず金型の基本となるのが標準金型材(プリハードン鋼材)を使った本金型です。
プリハードン鋼は通常の鉄よりも硬度が高く金型に向いた素材です。一般的な金型鋼材としてNAK材、P20材といった名称で親しまれています。
一般的に、生涯生産量10万ショットを目安に製作する金型で、3~5万ショット毎に定期的なメンテナンスが必要になります。

  • ・オーソドックスでバランスが良い

    金型の教科書に書いてある作り方をする金型です。
    外装部品に使っても機構部品に使っても無難に使えるオーソドックスで一般的なものです。
    多品種少量が中心となる昨今の日本の製造数量から見ると、ややオーバースペックになることも多くなってきました。
    しかし多くのメーカーがこの標準金型の仕様で製作することが多いです。

〇焼入れ金型

標準本金型よりも更に高い耐久性が求められる場面で選択されるのがこの金型です。
鋼材としてより硬くて耐久性があるステンレス鋼材、ダイス鋼材、後で熱処理が必要な焼入れ鋼材が使われる他、メンテナンスが細かくできるよう様々な摺動部の交換もできるような設計をしています。
同時に長期にわたって高い圧力がかかっても金型がヘタらないよう、標準本金型より一回り大きなモールドベースを使うことも多いです。
当然加工も大変になるので価格は高くなります。
焼入れ金型は本質的には耐久性を高めるために作るものなので、焼入れだから製品が美しくなる訳ではありません。

  • 日本のお家芸!

    世界的にみても100万ショットをこえる耐久性を持つ金型を安定して製作できるのは日本の金型メーカーの独壇場と言えます。
    とても硬い鋼材を削る技術、細かな擦り合わせを行う技術などの細やかさが必要で、そうした部分が長期的な耐久性に大きく影響を及ぼします。
    経験豊富で繊細な現場の技能者が居ることで成立する金型です。
    ただ繊細な作り込みがされているので、同時に金型を使う生産現場にも相応の配慮が必要で、丁寧な扱いが必要となります。
    本当に大量生産が必要な場面や、フィラー入り素材を使うために通常の金型鋼材では削れてしまう場面でのみ使われるべき金型です。

簡易型(鉄型)

〇セット取り金型テクノラボおすすめ!

プラモデルのように一つの金型に幾つもの部品を彫り込む金型の作り方です。
プラスチック部品は大抵数部品が同時に必要となるので、こうしたセット取りにすることで金型費を大きく節約できます。
最近の多品種少量生産に適した金型です。
大きさの異なる部品が同じ金型面に配置されるので、金型に掛かる圧力は均等ではなくなり、金型の寿命が縮んでしまうという欠点もあります。
セット取りの仕方にもよりますが、精々3~5万ショットまでしか持たなくなるのが一般的です。

  • ・部品点数が多い場合のコストパフォーマンスが抜群!

    プラスチックの製品は複数部品が組み合わさって使われるのが普通なので、セット取りの金型は非常に便利な金型です。
    少量生産((1,000個/ロット)以下の生産では、このセット取り金型になることが多いです。
    ただ機構部品などで精度が必要な部品には向きません。

〇直彫り金型

標準本金型はモールドベースという外枠をくり抜いて、そこにより硬い金型鋼材をはめ込み製品形状を彫り込みます。
直彫り金型はこうした金型鋼材を使わず、モールドベースそのものに製品形状を彫り込んでしまいます。
モールドベースは普通の鉄(S50Cなど)で出来ているので、金型鋼材よりも柔らかく耐久性は低くなります。
また標準本金型がメンテナンス性を考慮して交換できる部分を多く設けているのに対して、将来的な摩耗による交換も考慮しません。
結果耐久性を減らした分、金型を安く作ることが可能になります。
耐久性は1万~3万ショット程度です。

  • ・精度は欲しいが耐久性が不要な製品に向いている

    金型を作る会社にとって、長期的なメンテナンスはとても大事な要素ですが生産量を考えて敢えてそうしたメンテナンス性を無視して作るのがこの直彫り型です。
    なんとなく「さぼっている」ような後ろめたさがあるのか、「直彫りやってます」と堂々と言う金型メーカーはほとんどいません。
    ただし精度は欲しいが数量は欲しくない部品においては、有効な金型製作手法です。

簡易型(その他の簡易型)

〇カセット簡易型(アルミカセット簡易型)テクノラボおすすめ!

直彫り金型がモールドベースに直接彫り込むことで安くするのに対して、カセット型はモールドベースを共通にして中のはめ込み部分だけを交換できるようにするものです。
当然外側のモールドベースが不要になる分、金型費は安くなります。
一方でモールドベースは共通で使いまわすことになるので、カセット簡易型は金型を他の成形工場に移管することが出来ません。
またカセット部分を抜き差しするため、鉄では重くなってしまいとても小さなカセットしか使えません。
そのためアルミニウムで作られるカセットを使うことが多くなります。

モールドベースもなく価格はかなり安く抑えられますが、特にアルミニウムのカセット型は耐久性が大幅に低下します。
通常生涯生産量が1,000ショット未満の場合に使用されますが、金型の状態によっては5,000ショット程度まで持つこともあるようです。

  • ・多品種少量生産の王道

    近年、テスト販売や小ロット販売が増えたことで急激に利用比率が増えている金型です。
    生涯生産数が2,000個を超えることが明確な場合にはほぼ使われませんが、それすら分からない商品も多いためテスト的に利用されることが多くなっています。

    ただアルミで出来ていることから生産時に高い圧力をかけることが出来ず、機構部品としては精度が見込めません。
    あくまでも外装などに使われています。

〇3Dプリンター簡易型(デジモ)

標最近発達した金型製造方法で、カセット簡易型の一種です。
アルミではなく、インクジェットタイプの3Dプリンターでカセット部分を製作し、製品を製造するものです。
非常に斬新な手法で、中には最速20分で金型が出来ることを謳っている会社も誕生しました!
欠点としてはまだ比較的小さなものしか出来ない事や、意外に価格が高いことなどがあります。

  • ・何より夢がある!

    データを修正したらその場ですぐに金型が出来て、成形材料で製品が出来てくるというのは何とも夢があります。
    実際の量産の場面でひろがるにはまだ少し時間がかかるかも知れませんが、注視してゆきたい手法です。