樹脂筐体の設計ならテクノラボ。プラスチック製品のデザイン、設計、試作、金型、量産まで製品開発のすべてをお手伝いします。


Quality Control-製品の魅力を維持する品質-

少量生産(スタートアップ)に求められる品質管理とは

時代の変化によって品質管理に求められていることも変わってきています。
スタートアップが新しい製品を次々に市場に出してゆくという近年の環境では、ハードウェアにおいても素早く、しかし市場の信認を失墜させないレベルで製品を供給することが強く求められています。
これに対して従来の大量生産想定の品質管理では、過剰品質に陥り勝ちです。結果、量産にまで辿りつかなかったりといったことが頻発してきました。

テクノラボではスタートアップが抱えているテストマーケティング的な製品開発には、どういう品質を設定すべきなのかを考えて、その品質を「品質保証」することが重要だと、私たちは考えています。
製品の魅力(=品質)が、生産活動中に生じる諸事情で極力減ることがないようにして、完成品が顧客の期待値を下回らないようにコントロールすることが少量生産に求められる品質管理だという考えています。

品質保証にできること

  • デザインが魅力を高める要因(動機付け要因)だとすると、品質保証はそれを損なわない要因(衛生要因)です。
    衛生要因をいくら高めても、顧客満足が上がる訳ではありません。
    品質保証は、あくまで製品の魅力があって初めて意味がある活動です。

品質低下の要因

品質低下は製品の製造工程を経るごとに累積してゆきます。従来「品質管理」とは成形後の工程を指していましたが、もっと前のプロセスから品質を意識しなくてはを製品の魅力を維持することはできません。

  • プロセスの変遷時に品質低下が起きる

    これまでは部品製造後から品質管理を行っていた

    しかし、ものづくりに慣れていない人や
    スタートアップの少量生産の場合
    それ以前の品質低下が深刻
    =語られない品質管理

  • デザイン→設計の工程で起こる品質低下

    原因
    ・デザイナーが挑戦的すぎ、知識不足
    ・設計者がデザインに対する理解が不足している、または発想の貧困さに起因
    ・発注者がユーザーの使い勝手を優先するか、製造実現性/費用的な実現性を優先するか

    経験豊富なチームを作ったり、挑戦的なデザインを避けることで防ぐことができます。しかし、スタートアップの場合、ここで起こる品質低下が量産時までに累積し深刻な問題へと繋がっていきます。

  • 設計&試作→金型の工程で起こる品質低下

    以前は設計検証の過程で品質低下が多く発生していました。しかし、3DプリンターやCNC加工が発達したことで設計を試作で手軽に評価することができこの問題は飛躍的に減りました。

    一方、金型製作の段階での品質低下は今でも深刻です。量産をするためには金型を想定した製品設計が必要ですが、設計者の金型知識不足によって金型設計時に大きな設計変更を余儀なくされます。その背景には金型知識が乏しくても製作できてしまう3Dプリンターなどの技術が助長しています。
    また、製品の用途に適さない金型業者を選んでしまうことでも問題が起きます。

  • 金型→部品製造の工程で起こる品質低下

    射出成型時には必ず不具合が発生します。これらの不具合は防ぐのではなく、どの水準を許容するかの設定が重要になります。
    a.寸法不良
    b.外観不良
     b-1. 生産プロセスに起因する外観不良
       ヒケ/バリ/ショート/シルバー/焼け/異物/ウエルド/ジェッ
       ティング、フローマーク、湯ジワ/光沢不良/スレ傷
     b-2. 人為的要因による外観不良
       色不良/扱い傷
    c.検査不良
    d.輸送時不良

  • 部品製造→組立て型の工程で起こる品質低下

    部品の扱い傷/ねじ締め不良/組付け手順、方法の不具合/組付け部品の間違い/発注副資材の間違い/設計不良

    設計不良は、設計時の検証に十分な予算と時間を掛けないことで、発生します。
    また「発注副資材の間違い」もよくあります。製品は実に多くの部品(シールやビス、接点など)が組み合わさっています。それら副資材は設計時に調達先を検討する必要があります。

  • 組立→検査出荷の工程で起こる品質低下

    ・輸送不良と輸送時に発生する破損や傷
    ・製品とパッケージの価値観の不整合(ユーザーの開梱体験の演出不足)

  • その他の工程で起こる品質低下

    ・取扱説明書の有無
    ・アプリケーションソフトとの連携など
    こうした魅力の総体をきちんと把握するために、デザイン部門が主体となった開発の進める方も一般的になってきました。