東京都庭園美術館で開催されている『ブラジル先住民と椅子』展を見てきました。
今回の展示品をものすごく簡単にいうとブラジルの先住民が作ったシャーマン等が座るための動物モチーフの椅子。(現代作品もあり)
まるで絵本のキャラクターのような愛らしい動物たちですが、立体として均整のとれたラインでまとめられています。
木質を活かした工芸的魅力もありますが、「自分の部屋に置くならどれがいいかな」とついつい考えてしまうのはプロダクトとしての魅力だと思います。
プロダクトにとって、機能も意匠性もどちらも重要な要素です。
本展示会で熱く感じたのは『意匠も十分な機能である』ということ。
椅子は権威ある男性や宗教的立場の高い人のために製作されています。一見かわいらしく感じる見た目が重要な役割を持っている。
物によっては座るという機能よりも座ったシャーマンを如何に見せるか(動物を魅力的にさせるか)のほうが重要視されていると感じました。
日本人の私にとっては意匠要素に見える内容が、先住民の人には機能的要素に変わるということ。面白いです。
また、文化の違う私にとっても十分に引き付けられる意匠であること。意匠が機能としての役割を果たしていると強く感じます。
筺体開発の現場では、まだまだ機能と意匠は別と考えられがちですが、意匠にも役割があります。
無線機器がここまでモチーフを主張することはありませんが、文化を超えて、機能をも差し置いて、「なんかいいな」と思わせる力を素敵だなと感じました。