ある経営者に言われてハッとした一言、「日本食は素材を活かして作るんです」。
前後の文脈がないと分からないですが、経営者は、社員という素材をそのままで活かしてお客さんを感動させる仕事をしなくてはいけないということ。うーんと痺れてしまいました。
西洋の料理は、茹でたり煮たりして濃い味のソースで炒めたり。元の素材はどんな味なのか分からないことが多々あります。それに対して、日本食では素材そのものを活かすことが全てです。包丁で切るだけで、素材が料理に変わってゆくのです。
自分も含め多くの経営者は、仕事をする時にお客さんを納得させるために頑張ります。そのために素材(=社員)を一生懸命加工して、お客さんに気に入られようと料理してしまいます。
でも他人の枠にはめられて生きられるほど、人間は単純ではないでしょう。経営者はその人が持って生まれた個性を活かして、仕事をするべきだと考えさせられました。
「経営者は日本食の板前のようであるべきだ」と、その指摘に反省しきりです。
一般論ですが、味が良くてクセが無い、高級な食材(=労働者)は大手企業が仕入れてしまいます。当社のような中小企業に来てくれる社員は、そこに当てはまらないクセの強い食材や味の薄い食材(=社員)であることが多いと思っています。
だからこそ板前(=経営者)の腕で料理の仕上がりが左右されてしまう訳で、それこそが経営者の腕の見せどころ、やり甲斐なのだと思います。
自分はまだまだ修行が足らないなぁと改めて思うと同時に、とてもワクワクしました。
経営者はエゴイスティックで構わないと思います。私自身も自分の中のエゴイスティックな部分は認識しています。経営者は自分がやりたいことをやるために、わざわざ独立したのですからそこで妥協する筈がない。
一方で社員だって、やりたいことが幾つもある中でこの会社と働くことを決めてくれた訳です。社員自身にもエゴイスティックな自己主張はあってしかるべきだと思います。
だから社長も社員も両方がやりたいことが出来ることが目標。それを満たした上で顧客を感動させることが出来たら、経営者としてそれに勝る仕事はないよな、としみじみ思いました。
難しいですが、一人前の板前を目指します!
林光邦