こんにちは。金型設計担当の千葉です。
少し前の話になりますが10月に明るいプラスチックの会主催のいすゞ工場見学会に参加してきました。
いすゞと言えばトラック製造の大手として知られていますが、実際に工場を見学する機会は中々ないので、貴重な体験をさせていただきました。
いすゞのトラックの大まかな規格は3つに分かれていて、その中で顧客の要望に応じたカスタマイズをしていくのです。小型トラックに当たる「ELF」は、カスタマイズ品を含めると、なんと2000種類以上にもなるそうです!これを現場でミスなく組み立てるのというのは、様々なノウハウをしっかりと蓄積できているのだなーと感じました。
工場内は撮影禁止でしたので、文章で少しでもお伝えできることが出来たら幸いです。
キャブの溶接工程は自動化されていて、ロボットにて自動ライン化を実現しています。おそらくスポット溶接でしょうか。ロボットは昼勤と夜勤の間にメンテナンスされています。
上を眺めてみると、常にキャブが運ばれています。巨大な工場だなと改めて実感させられます。
工場内に自動で台車がよく走っているのを見かけます。AGVと呼ばれる無人搬送車で資材などを運んでいるとのことでした。通路脇にいくつも工具置き場が点在しており、各工具は整然と並べられていて、どの工具が置き場に存在しているのかが一瞬で把握できるようになっていました。人が使う道具にも細かな配慮がなされているのを実感しました。
ロボットで自動化している工程が沢山あるのも印象的でした。フロントガラスは、キャブ一つ一つで微妙な仕様の違いが出ていますが、それをセンサーで感知してロボットがパネルを搭載してくれます。また、ドアについても以前は1枚を4人で積んでいたものが今では完全に自動化されています。
プラスチックに関わる人間としては一番気になるところだったのですが、最後にバンパーなどを作る射出成形のための棟を見学させていただきました。
トラックの外装を作るための成形機なので、いままで見たことのないほどの大きさの射出成形機が並んでおり、最大で3500tもの成形機があるそうです。金型も長手方向は人よりもはるかに長くなっており、普段我々が扱っている金型や成形機よりも文字通りスケールが違います。
全体を通して自動化されている部分が多く占めていましたが、手作業の工程もまだ多く、その二つが綺麗に融合したようなライン工場だという印象を強く受けました。
工場見学の後、いすゞの製品や部品が展示されている「いすゞプラザ」という場所に行きました。入ってすぐに昔の車両が展示されていて、少し進むと、巨大なジオラマがお出迎えしてくれました。こちらは15分の間ミニチュアが動いて、はたらく車が活動する姿を見ることができます。ジオラマの中では同時に複数の自動車が同時に動いており、ジオラマ内の世界が出来ていました。よく観察してみると、鍾乳洞など自動車に直接関わらないような所まで作られていて、作った人の遊び心が垣間見える部分も多くあります。
動くジオラマを見た後には、いすゞの車両が複数展示されていました。普段、近くにまで寄ってトラックを観察する機会は中々無いので、食い入るように見てしまいました。いすゞと言えばトラックという印象が強かったのですが、バスも展示されていて驚きでした。先に進むと、広い吹き抜けの空間にディーゼルエンジンが複数現れました。レプリカとは言え、美しい金属光沢と複雑に絡んだ部品たちの姿は普段は見慣れないので見とれてしまいました。
最後は実際の部品であったり、試作の方法などが書かれたスペースと、トラック以外の車両が展示された場所に辿り着きます。私はいすゞと言えばトラックの印象が強かったのですが、多くの普通自動車が見られます。明プラ会の皆さんはこのスペースに長い間見学したような印象がありました。
今回は時間が短かったのであまり多くは見られなかったのですが、またゆっくり見てみたいと思うような魅力が詰まった展示場でした。