buoyは海ごみの現状をみた横浜にあるプラスチックメーカー「テクノラボ」が生み出した成形技術でできています。なぜその技術が必要だったのか、またどんな特徴があるのかについて解説します。
海洋プラスチックごみを材料にするために「新しい技術」が必要だった理由
いままで海洋プラスチックごみはリサイクルが難しい素材とされてきました。というのもプラスチックとひとくくりに言ってもいろんな種類(PET、ポリカーボネート、アクリルなど)があり、それらはそれぞれ全く違う分子構造でできています。つまり同じ熱可塑の樹脂でも成形温度(溶ける温度)が違うため、違う種類の樹脂が混ざっていると加工(また素材として生まれ変わらせること)ができなかったのです。
また、海洋プラスチックごみは塩や紫外線による劣化や、フジツボがついてしまったり、砂がめり込んでしまっているなどもリサイクルを難しくさせていた要因です。
そこでbuoyは
- いろんなプラスチックが混ざった状態で成形できること
- 劣化していたり、プラスチック以外の付着物がついていても成形できること(新たなマイクロプラスチックをつくらない/洗剤による海洋汚染を防ぐ)
- プラスチックのプロじゃなくても、材料の回収ができること
を前提に技術開発しました。その結果、2024年現在30か所以上のビーチクリーン団体様と連携し、年間2トンの海洋プラスチックごみを材料としてかつようしています。
※洗浄を必須としないかわりに、製品表面はフィルムでコーティングすることで海洋プラスチックごみが露出しないようになっています。
buoyの特徴
上記、独自開発の製法によって生まれるbuoyの製品の特長は大きく3つあります。
①複合素材によって生まれる特徴的な色と模様
buoyの製品の色と模様は偶然集まった色と、偶然集まった樹脂の配合(融点の違い)によって生まれます。融点の高い樹脂はドット柄になり、融点の低い樹脂は水彩画のような流れる模様になります。
buoyの製品を通して「これは何でできているのかな?」と疑問に感じてほしいとのことからこだわった見た目です。昨今プラスチックのリサイクル材を使用した商品がいろいろと出ていますが、通常は再生材はリサイクル材でないプラスチックに混ぜて使用するのが一般的です。ですが、わたしたちは使ってもらうならユーザにわかりやすく実感しやすいことを重視してきました。
②持った重さが海ごみの重さ
buoyの製品は100%海洋プラスチックごみだけでできています(表面のコーティングフィルムを除く)。そのため手に持った重さ=海洋プラスチックごみの重さです。暮らしている地域によっては海洋プラスチックごみの問題を実感しにくい方々もいます。製品を手に取ることで海洋ごみ問題を肌で感じてもらえたらと思っています。
③産地を明記して販売
buoyの製品は一つ一つ海洋プラスチックごみの回収された場所がシール(製品によっては刻印でも)で明記されています。またシールのQRコードを読み込むと回収活動を行った団体さんを紹介する特設ページを見ることができます。buoyの製品を通してその地域と繋がりをもったり、応援したい気持ちが生まれたらと思い大切にしている仕組みです。