④ハードウェアにおける電気設計

電気設計もハードウェア開発において重要な要素の一つです。テクノラボはこの部分の専門家ではありませんが、製品開発には不可欠な知識です。以下は外部の電気設計を委託する中で得た最低限の知識をもとに、電気設計の大枠を解説します。

電気設計の基本的な作業内容

エレクトロニクスの開発には、以下のような作業が含まれます:

  1. 基本要求仕様の抽出
  2. 基本回路ブロックイメージの検討
  3. 基本の部品選定
  4. 原理試作の製作と検証
  5. 回路設計
  6. プロトタイプ製作と評価
  7. 回路設計、部品選定の最終決定
  8. 量産部品の調達
  9. 量産試作基板の製作(基板実装)
  10. 通信、VCCI等、各種試験
  11. 検査仕様の決定

個別の説明は省略しますが、これが全体の流れです。この流れを理解することで、製品開発の全体像が見えてきます。

電気設計で抑えておきたいポイント

以下の3つのポイントを押さえることで、電気設計の理解が深まります。

ポイント①:達成する機能

電気設計の最初のステップは、「作ろうとするもの」、つまり基本要求仕様を決めることです。要求仕様は「必要とされる機能」を明確にし、その機能を実行する手順を示します。

例えば、以下のような要求も要求仕様と言えます:

  • 患者の位置をリアルタイムで把握するためのタグから常に電波を発信させ、それを受信し続ける機能
  • 川の水位を計測し、その情報を30分ごとにクラウドにアップロードする機能
  • 来場者の顔を撮影して年代や性別を分析し、その属性を記録する機能

これらの機能を明確にすることで、外注業者にも意図が伝わりやすくなります。

ポイント②:部品選定

要求仕様を満たすために、どのような部品を使うかを選定します。以下にIoT機器の開発を例にして、部品選定の流れを示します:

  1. センサー類/カメラ等:収集する情報に応じたセンサーやカメラを選定。
  2. 通信モジュール/メモリー:情報の集計方法と使用方法を決定。
  3. マイコン/CPU:情報の処理方法に応じたCPUの選定。
  4. ディスプレイ/表示器:情報の表示方法に応じた部品を選定。
  5. バッテリー/電源:部品の消費電力量に基づきバッテリーを選定。
  6. スイッチ・接続用コネクタ:操作部分の部品を選定。

これらの部品を選定することで、電気設計の大まかなイメージが掴めます。

ポイント③:使用環境

装置の使用環境も考慮する必要があります。例えば、屋外で使用されるのか、持ち運びが必要かなどの環境要因によって、使用する部品が異なります。

【まとめ】

これらのポイントを抑えた後、電気の専門家に開発を委託します。選定した部品に基づき、機能や予算が決まり、製品のブロック図が描かれます。最近では、SBC(シングルボードコンピューター)を使用することで、簡単なIoTデバイスなら手軽に作成できるようになっています。

これらの知識を持っていると、電気の専門家と対等な立場でディスカッションができるようになります。製品見積もりの調整や新たな用途の発見にも役立ちます。この解説で電気設計が「分かった気になって」もらえたら幸いです。