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CADについて
工業製品を作るときに欠かせないのが「図面」です。一度でも製品を作った経験のある方なら、図面ナシには何も進まないことが良くお分かりだと思います。
この図面は現在ほとんどパソコン上で作られますが(当たり前ですけども)、その為のソフトがCADと呼ばれるものです。
CADにもいろいろの種類があり、またその種類ごとに様々なソフトがあります。
<CADの種類>
2次元CAD 電気配線設計用
建築用
製品設計用(機械系)
2.5次元CAD(疑似3次元CAD)
3次元CAD
<代表的なCADソフト>
2次元CAD(機械系)
AutoCAD(M)
頭脳Rapid(L)
ナスカPro(L)
2.5次元CAD(機械系)
MasterCAM(M)
Inventor(M)
ナスカPro2.5D(L)
3次元CAD(ソリッド系)
CATIA(H)
Unigraphics
I-DEAS(H)
Pro/Engineer(H)
Solid Works(M)
SolidEdge(M)
TopSolid(M)
VISI-CAD(M)
図脳Century(L)
AlibreDesign(L)
3次元CAD(サーフェス系)
NX(H)
Rhinoceros(L)
などなど
※(L) ローエンド
(M) ミッドレンジ
(H) ハイエンド
<プラスチック製品業界におけるCADの普及状況>
プラスチック製品を作る業界では、現在3次元ソリッド系のCADが主流となっています。
特にSolid Worksは近年圧倒的なシェアで他社を圧倒し始めた感があります。
また価格はミッドレンジですがハイエンドを謳っているPro/Engineerがそれに続くイメージです。一部の電機メーカーが採用しているということも背景にあるのでしょう。
ソリッド系は、サーフェス系に較べて他機種感でデータを受け渡しても、化けにくい(面落ちしにくい)という強みがあ利ます。 主流になった背景にはこの長所があるように見ています。
中小企業では80−200万円位のミッドレンジCADを導入していることが多いようです。
ただ自動車業界ではCATIAというハイエンドCADが標準となっています。 このため、自動車業界では中小でも1000万円近く払ってCATIAを導入しているところが結構あります。
ローエンドのCADは、3次元CADに関しては仕事で使うにはスペック的にちょっと厳しいようで、余り普及していません。
ただローエンドの中でも図脳Rapid3Dを使っている会社が一部見受けられます。
また一応3次元ソフトとして販売されているものの、その中身は2次元の延長に近いソフトが多くあり、これを仮に2.5次元としてくくりました。
その中でMasterCAMと呼ばれるソフトがありますが、これがマシニングを使った切削加工業者さんの間で高いシェアを誇っています。
その理由はこのソフトが非常に幅広く他形式のデータ受入れできること、マシニング制御のソフト(CAM)との連動性が高いこと、そしてこれはマシニング加工では実質2次元の動きで作業するため、2.5次元で十分なことなどから受け入れられているようです。
同じような2.5次元のソフトとしてINVENTORと呼ばれるソフトが学校や公設試験場などで圧倒的なシェアを誇っています。ミッドレンジの中では安いことと、姉妹品の2次元ソフトであるAutoCADが2次元ソフトの中で圧倒的なシェアを持っていることなどから普及しているのかも知れません。
しかし3次元形状を作るのが苦手なことや、MasterCAMのような加工に優れた特徴もないためモノづくりの現場ではほとんど普及していません。
サーフェス系は曲面デザインを特に使用する業界で、NXなどが一部使われています。 また学校などでRhinocerosが普及したことで、最近はRhinocerosで作ったデータを持ち込んでくるケースも増えました。が、残念なことに化けて(面落ちして)しまうことがほとんどで、Rhinocerosのデータはかなり使うことが割と難しかったりします。
やはり仕事には向かないようです。
<製造の際に必要な図面データ形式>
上述したようにCADのソフトは多様にあり、設計した会社のソフトと加工先の会社のCADが同じことはむしろ少ない場合が多いのです。
そこで実際にCADデータの受け渡しを行なう場合は、中間形式と呼ばれる形式に変換して行なわれます。
この中間形式と呼ばれるファイル形式は、異なるCAD同士でデータのやり取りが出来る、便利な形式です。
以前はIGESと呼ばれる形式が主流だったのですが、IGESは面落ちすることが多くデータ容量も大きくなるため、最近はSTEP形式が多いようです。またどこでもソリッド系のCADになりつつあるので、パラソリッド形式とよばれるXTファイルでのやり取りも多いようです。
またプラスチック製品を作っていても、金属の部品も一緒に使うケースも多くあります。しかし金属の板加工を行なう業界は、3次元のCADをほとんど使っていません。
そこで、この場合には2次元図面データを送ることになります。
2次元図面ではDXFやDWGと呼ばれる中間形式が主流です。
また意匠登録や製品仕様書、取扱説明書につけたり、会社の購買管理のために使用したりするためにも、この2次元の図面が使われることがあります。
この他の中間形式としてSTLと呼ばれる形式があります。
これは最近普及してきた積層造形装置に使用する際に使われる形式です。ただSTL形式は面落ちなどがあった場合に修正がしづらいので、STEPやXTのファイルを合わせて送ってもらうよう依頼されることもあります。
<外注で設計した3次元CADデータの確認>
設計を外注する場合に、良くあるのが外注で設計したCADデータを見ることが出来ないというトラブルです。
CADは一般的に高額ですし、使いこなすのにかなりの時間を要します。したがって3次元CADデータを受け取ってもそれを自由に顧客が見ることが出来ないという事態になる訳です。
通常は、2次元図面データを印刷して顧客に渡し、3次元データはCDに焼いて加工屋さんに渡してください、というパターンが多いようですが、3次元図面を見ることが出来ない事態に変わりはありません。
このような場合、個人的には印刷した2次元図面データはそのままで良いとして、STLデータも一緒に渡してもらうことをお勧めしています。
STLデータは細かい部分の長さを測定したりすることはできませんが、3次元そのままで形状確認することが出来ますし、回したり拡大したりすることも自在に出来ます。そしてフリーのビューワーソフトがあり、その使い方も容易だからです。
3次元CADデータを見ることが出来ない方は、ぜひ一度試して見ては如何でしょうか?
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