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プラ製品の出来るまで
1.製品企画
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・切削加工
・光造形
・レーザー焼結
・その他積層造形
・真空注型
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10.完 成
コラム
HOME>プラ製品のできるまで>試作>レーザー焼結
レーザー焼結
光造形の次に普及した積層造形技術がこのレーザー焼結です。
特にナイロン(ポリアミド)が使われることからナイロン造形ともよばれています。
光造形と同様に3次元図面から作った断面図を、一層ずつ造形して、それを積み重ねてゆく点では似ています。 それ故(後に詳述する試作法とあわせて)このような試作方法を「積層造形」とまとめて呼ぶこともあります。
レーザー焼結もスライスした断面図をレーザーで描画して、形状を作りますが、レーザー焼結は液状エポキシの代わりに粉体のナイロンを使います。ポイントはレーザーの光が強いことです。
強いレーザー光の当たった粉体のナイロンは溶けてお互いがくっつきますが、当たらなかった部分は溶けない粉体のままです。だからレーザーが当たった所だけ一体の製品となる訳です。
このような断面図を重ねてゆくことで形状が出来るのです。
レーザー焼結でも積み重ねるピッチは0.1mm程度です。
最終的に製品の上端部の高さになるまで積上げてゆくと、積み重ねた粉体の中に、製品の形状が埋まって出来上がっていることになる訳です。
光造形との違いとしては、レーザー焼結では粉の中に製品が埋まっているので、液体のように流される心配がなく、サポートが不要になります。特に中空部品などではサポートを取る必要が無いので、非常に便利です。 また融かした際に熱が出るのですが、それが粉体に埋まって放熱できなくなりますから、中々冷えてくれません。
そこで造形した後、1日程度そのまま冷やして置かなくてはならない点も光造形との違いです。
<長 所>
使われる素材は主にナイロン11や12という非常に靭性の強い材料なので、切削加工に劣らない強靭な素材で試作が出来ると言われています。
比較的割れ易い光造形の素材と較べて、実物のように落下試験などに利用することが出来、この点が最大の長所です。
そのような物性を持ちつつも、(複雑な形状ならば)梳り出しよりも遥かに安価に製作することが出来る点も有利です。
<短 所>
レーザー焼結の最大の弱点は製品の表面です。
粉体(100μ程度)を融かしてくっつけているので、表面は粉の集まりで、ザラザラしています。
光造形はエポキシ素材ですから、ヤスリで磨けばそこそこの表面になりますが、レーザー焼結で作った製品は(ネバネバしたナイロンがベースですから)磨いてもきれいな表面になりません。
ですから外観の体裁を求められる試作には向きません。
また素材の強靭さを求めるためにナイロンを使っていますが、粉を溶かしてお互いくっつけているので結構中がスカスカの(密度が低い)状態で、切削で作るナイロンほど強くはありません。
さらに光造形よりも新しい技術ですので、まだまだ装置が高額です。そのためか試作費は光造形よりも高め(1.5〜2.0倍程度)に推移しているようです。
<現 状>
積層造形の中では光造形と並んで安定したシェアを持つ試作手法です。今後も確実に必要とされる試作法だと思われます。
熱可塑性の素材を融かしてくっつけるという技術なので、溶ける素材ならばどんな素材でも原理的には成形することが可能です。
そもそもこの技術は鉄を溶かして造形する装置の方が先に市場に出ていたので。
(もっとも鉄を溶かして造形する技術は、切削の方が安上がりだとして全く普及しないままで終わってしまいましたが)
そのような技術的背景を受けて、ポリプロピレン(PP)やポリカーボネート(PC)などでも試作する試みが行なわれ、特にPPは実用化されたかに見えました。しかし2009年の不景気による開発意欲の減退と、切削市場のコスト低下を受け、どうやら日の目を見ずに消失してしまいそうです。
つくづく新しい技術が生まれるためには、「運」も必要なのだと感じさせる出来事でした。
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