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プラ製品の出来るまで
1.製品企画
2.デザイン
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4.素材選択
5.試 作
・切削加工
・光造形
・レーザー焼結
・その他積層造形
・真空注型
6.金型製作
7.成 形
8.後加工
9.組 立
10.完 成
コラム
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切削加工
プラスチック部品の試作の中では、現在最も一般的な試作法です。
量産に使われる素材と同じ材質のブロックを購入し、これをマシニングセンターと呼ばれる機械で梳りだして、目的の形状を作る方法です。
(業者さんによっては、マシニングセンターではなく、フライスや旋盤も多く使われるようです)
3次元CADとそのCADに連動して工作機械を動かすCAMが普及したことによってこの試作法がとても一般的になりました。
加工する素材が市販されているものしか加工できませんが、量産に良く使われる素材は大体市販されています。
ただPP(ポリプロピレン)だけは、切削した痕が粘ってしまうので、無いわけではないですがあまり使われません。
現在流通している素材は、概ね以下のものです。
素材名(業界通称)
・ABS(エービーエス)
・POM(ジュラコン/ポリアセタール)
・PA(MCナイロン)
・PMMA(アクリル)
・PVC(塩ビ)
・PTFE(テフロン)
これらの他にもエンプラとして一部の素材が流通しています(非常に高価ではありますが)。
切削用ブロックは流通していないけれど、射出成形で使われるのと全く同じ素材で作りたいという方は、わざわざブロックを自前で作ってこの試作法を行なうこともあるようです。
ただこの場合にはブロックの製作費だけで、とてつもない金額が掛かってしまいますが。
<長 所>
何といっても実際に量産で使われる素材と同じ(同質の!)材料を使うことが出来ることがこの試作法の強みです。
逆に言えば、この方法以外の試作法は量産の時とは異なる素材で試作をしているわけですが。
またもう一つの強みが、工作機械で梳りだして製作するので加工精度が非常に高いものを作ることが出来ます。
実際に量産でプラスチック部品を作る時には金型で作ることが多いので、この加工法ほどには精度良くモノをつくることはできません。
<短 所>
加工法からイメージできるように、非常に価格が高くなります。
1〜2千万円の機械に高度技能者がつききりになって数時間から数十時間の作業をするわけですから、推して知るべしです。
ちなみにマシニングセンターのチャージの相場としては、現在5〜10千円/時だそうです。
CADから連動したCAMを使って工作機械を動かすというと、コピー機のように簡単に作ることが出来る印象を持つ方が多いのですが、実際にはそれぞれの工程にかなり手間暇がかかってしまいます。
「基本データが受け渡せるので製作する形状にミスが起こりづらいのだ」程度のイメージを持つ方が正解でしょう。
<現 状>
CADが普及した1990年代からこの試作を請け負う「試作屋」と呼ばれる企業が林立し、活況を呈していましたが2000年頃までで一段落したようです。
ハイテクに見える外観と異なり、かなり人手がかかるアナログな世界なので実態として人件費の占める比率はとても高い業界です。
そこでリーマンショック後に、この試作の仕事も人件費の安い中国メーカーにかなり奪われ、現在国内の相場が急落しています。
とは言え毎回あたらしい作業なので、その都度工夫してゆく緻密さを要求され、中国メーカーは不良率が高く日本に戻ってきた仕事も再び増え始めています。
日本の試作メーカーは「激しく」優秀で、実際ちゃんと見積もると為替で倍以上得をして、かつ人件費も安い韓国企業より安くて良い仕事をしてくれます。
とはいえ為替のハンデ、CADと工作機械購入価格のハンデがあって、流石に中国企業にはかないません。
・金 型
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