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プラ製品の出来るまで
1.製品企画
2.デザイン
3.設 計
4.素材選択
5.試 作
・切削加工
・光造形
・レーザー焼結
・その他積層造形
・真空注型
6.金型製作
7.成 形
8.後加工
9.組 立
10.完 成
コラム
HOME>プラ製品のできるまで>試作>真空注型
真空注型
この手法は上記の全ての方法と根源的に異なる試作手法です。
つまり「見本がないと作れない」方法です。
上記の全ての試作手法が「一個からでも」作れるのに対して、この手法は始めの一個がなければ作れない手法だからです。
この見本(マスターと呼ばれます)をシリコーンを流して固め、メス型を作ります。そのメス型に硬質ウレタンを流し込んで固めて、製品を作るというのがこの手法です。
<長 所>
これまでに挙げた多くの試作手法と較べて、一個あたりの価格がとても安くなるのがこの試作法の長所です。しかも一つのシリコーン型で20個以上のコピーが作れますから、ある程度まとまった数を作るのに向いています。
また流し込む硬質ウレタンには各種のグレードが市販されており、用途に応じて選択することも可能です。
材料に色材を混ぜて、素材に着色することも自由に出来ます。
<短 所>
積層造形や梳りだしに較べれば安いものの、製品一個あたりの製作費はそれなりの高額(数千円)になります。というのは流し込んで固まるまでに数時間要すること、熟練者の技能が必要なこと、固まった製品の仕上げに手間がかかることなどがコストアップ要因となるためです。
また、材料には色々なグレードが準備されているとは言え、基本は硬質ウレタンです。
ウレタンとはウレタン結合を持つ樹脂の総称で、配合によってさまざまな素材になりえますが、総じてウレタン結合が熱に弱いことから、耐熱性に問題を抱えることが多いです。またウレタン結合は水分と結合して分解し易いので(加水分解)、高湿度の環境で使用するのに向きません。
試作以外では、温度変化の少ない室内環境で使用されるのが限界と考えられています。
<現 状>
自動車の量産試作の世界では、まだまだ一般的に使用されている技術ですが、他の分野では帯に短し襷に長し、ということで余り普及していません。
最大の問題は量産時のコストだと思われますが、なにしろ製作に時間と手間がかかるので止むを得ないでしょう。人件費の安い海外で出来れば解決できるのですが、熟練した技能がハードルになって海外生産の試みはことごとく失敗しています。
現在、耐熱性や耐湿性を大幅に向上させた素材なども上梓されているようですが、市場が小さい中で生まれる新製品ですから極めて高額な素材価格になっているようで、余り普及することが見込めません。
現状のようなどっちつかずの状況を引きずった後、やがて衰退する技術のような気がします。
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