プラスチックでものづくり2012 株式会社テクノラボ
プロダクトデザインにおいてエポックメイキングだったのではないかと密かに思っているのが、このアイポッド・アイフォーンの出現です。
初めてアイフォーンを見た時、あまりに非常識な作り方にビックリしたものです。設計や量産に関わった経験のある日本人なら、誰でもそう感じたのではないでしょうか?
例えばアイフォーンの筐体はアルミブロックから削り出して作っていますが民生品の量産品でこのような高価な加工法をしてしまう点が非常識でした(試作品や宇宙船ならばありますが)。
またパネルをガラスで作った点も驚きです。ガラスは高価で、かつ割れやすいですから、この用途に使うためには非常に高価な特殊ガラスを使わなくてはならないので。
しかし、普及してしまった今になればそれば常識になったようです。
多くのスマートフォンがアイフォーンの作り方を踏襲しています。答えから振り返ってみれば、デザインのよさを追求するためにコストは幾らかけても構わないという非常識さが返って良い製品になったといえるのでしょう。

このような非常識さで作られたアイポッド・アイフォーンですが、その影響にはどんなものがあるでしょうか?
まずその1番目は、製品色における流行を変えたことです。
当社に来る依頼で、製品色に白を希望する顧客はそれまでもいらっしゃいました。 しかしそのほとんどは黄色がかったアイボリーやベージュを希望していました。それがアイポッド出現以降は青みがかった白を希望するお客さんばかりになったのです。
効果の2番目が、デザイン形状の良好を変えたこと。
それまでは、ほとんどのお客様がカーブの強い丸みがかったデザインを希望されていました。 今では、カドがたったデザインを希望されるお客さまが半分くらいになりつつあります。
そして効果の3番目が、製品の仕上がりに対する要求が厳しくなったことです。正直言って、お客様の製品を見る目が明らかに肥え始めています。
(それは毎日アイフォーンを眺めている訳ですから)
以前はこまかなズレや色ムラなどは不問にされることが多かったのですが、最近このような作りこみの甘さが見落とされることはほとんどなくなりました。

一つの製品で、確かに世界は変わるものなのですね…


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